島の仕事レポート

地域おこし協力隊募集:求む!海の幸から島発ヒット商品を生むシーフードプロデューサー

沖永良部島で働く地域おこし協力隊を募集

このたび、鹿児島県、沖永良部島(おきのえらぶじま)和泊町で地域おこし協力隊を募集!課題は、島で獲れる水産物を使った商品開発と販路の開拓。島内外での需要を掘り起こし、島の漁業の未来を拓けるチャレンジングな『シーフードプロデューサー』を探しています。

本記事では、沖永良部島の魅力、漁業の現状と課題、求める人物像について紹介します。

 


▲赤、緑、そして青がアイコンカラーの沖永良部島。(写真提供:和泊町)

 

ふたつの海に囲まれた花とサンゴの島から

「今朝は大漁ですよ!シャッターチャンスです!」

スマホからよく通る声がする。構えていたカメラを下げてセリ場へと駆けると、いかにも南国的なカラフルで見慣れぬ形をした魚介類が並べられていた。

▲アカマチ(ハマダイ)は高級魚のひとつ。

▲ほかにはシイラやキハダマグロや、

 

▲地元でもよく食べられるアサヒガニなどがある。

 

いつか誰かが「南の魚が色鮮やかなのは、太陽光を吸っているから」と話していた。おとぎ話のようなことを言うと思ったが、朝日に照らされたコンクリートの床の輝きには妙な説得力がある。あと数日で12月なのに、太陽が最後の力をふり絞りミンミンゼミを鳴かせる。
ここは九州南西部、奄美群島に位置する、沖永良部島(おきのえらぶじま)。沖縄本島から与論島を挟んだ場所にあり、歴史的に薩摩よりも琉球の影響が濃い。軒先にシーサーがいる家も珍しくなく、食文化もほぼ同じ。お年寄りが本州をヤマトと呼ぶあたりもそれらしい。

人口は12,120人(2020年12月時点)。東に和泊(わどまり)町、西に知名(ちな)町が並ぶ。赤土とサトウキビ畑のコントラストが目立つ、東シナ海と太平洋に挟まれた島。オカリナの形で、冗談交じりに「ナイキのマーク」と言う人も多い。太古にサンゴ礁の隆起により生まれたため琉球石灰岩で覆われ、毒ヘビのハブがいないのはその地質ゆえとも言われる。

▲空気はもちろんきれい、晴れの日には満天の星空が約束される。(写真提供:和泊町)

 

▲200~300の洞窟が地下にあり、ケイビングも楽しめる。中央の影は人。(写真提供:沖永良部島ケイビングガイド連盟)。

 

そんなハブの不在も影響しているのか、島民性は「おっとり」、農業中心のためか「根気強く」「シャイ」。忘れてはいけないのが「ジョギング好き」。毎年3月に行われるジョギング大会の島民参加者数は、2000人前後にのぼる。なんと、およそ6人に1人が参加する計算だ。もっとも今年は、コロナ禍であいにく中止になってしまったが。

▲2019年度に開かれた『花の島沖えらぶジョギング大会』の様子(写真提供:和泊町)

 

田舎だが、空路と航路ともに沖縄や鹿児島とつながっており、大型スーパーもある。観光よりも農業人口が多く知名度も低めで、「ほどよい規模で落ち着ける」と最近は若い移住者も増えている。台風のときだけはちょっと大変、いや場合によってはかなり大変だけれども。

「こんなに晴れた日はたくさん魚は獲れないんですが、珍しいですね」

先ほどの電話の主は、和泊町役場職員の安田拓(やすだたく)さん。Uターン後に入庁12年目、経済課に所属し現在は島の漁業が抱える課題に取り組む。ガッシリとした体格とよく通る声が印象的な、名刺に書かれた『情熱営業マン』の通り情熱と行動力の塊のような人だ。

▲和泊町役場にて撮影、収穫期を迎えた町花のテッポウユリといっしょに。

 

▲安田さんは、今回募集する地域おこし協力隊隊員のマネージャーになる人物だ。

 

 

時代とともに疎遠になった島魚と島人

沖永良部島のセリは、日曜を除き毎朝9時に行われる。

▲9時になる頃には仕入れに来た仲買人たちで溢れ返るセリ場。

 

▲セリがはじまり、今日揚がった水産物がセリにかけられる。

 

仲買人は、島の鮮魚店や飲食店、あとは片手で数られるほどの大型スーパーの担当者。店で扱う鮮魚の質が、味はもちろん、店の評判と、長い目で見れば将来だって左右する。ましてや今のコロナ禍。『おっとりでシャイ』という島民性も、勝負の場では入り込む余地なし。

目利きたちの鋭い視線が鮮魚たちに注がれ、値が決まったら鮮度を落とさないうちに売りさばかれて、それぞれの店へ持ち帰る。30分も経つ頃にはセリ場から魚も人も消えていた。

セリというものを初めて見たが、「盛況だなぁ」というのが素直な印象。

だが実は、ここに出され島内に行き渡る水産物は漁獲量全体の1/3程度に過ぎない。残りの2/3は沖縄と鹿児島へほぼ半分ずつ送られる。外洋に囲まれた島でありながら、島民が地魚を食べる機会は決して多くない。だが魚が嫌いという訳でもない。なんだったら『島外に送られる一方で、島外から送られてきた魚を食べている』という不思議な現象が起きている。

味の嗜好が変わったね。アカマチ、アオダイ、ミーバイ、昔は売れたけど今は年配者しか買わなくなった。現代人はマグロとイカと…カンパチとか。なんせ魚を知らない」。島魚を売り続けてほぼ半世紀、仲買人の池田芳枝(いけだよしえ)さんは島民の味覚の変化をそう評する。

▲アオダイの皮のから揚げは伝統的な島料理、甘く、臭みがない。

 

▲子どもたちもお店は気になるけれど…?

 

背景には、国内の流通網が広がり、食の選択肢が広がったこともあるだろう。今や海外から仕入れる分にも苦労は少ない。太古の昔から長く長く、本土とは海で隔てられていた離島にとってあまりに大きすぎた時代の変化。その利便性が皮肉にも、島民と島魚の間に新たな隔たりを生んだ。それに伴って生まれた『漁業人口の減少』が、今島が直面している課題だ。

この12年で、漁師を本業とする正組合員の数も45人から32人と3割減。もともと島は農業が盛んで農家と漁師を兼業する人も多く、相対的に漁業人口は多くない。だが島の人口減少と少子高齢化からさらに減り、そこにダメ押しのコロナショックで島外の需要も落ち込んで、危機意識は最高潮に達している。

しかし、これまで島の漁業関係者が何もせず手をこまねいていた訳ではなく、むしろ10年以上前から巻き返す手筈を整えてきた。その大勝負で迎え入れるキーパーソンが地域おこし協力隊として迎え入れる人物であり、もしかするとそれはあなたかもしれないという訳だ。

▲海鮮料理店『漁り火』店主の山田さんは、仲買人でもあり、漁業権を持つ漁師でもある。

 

▲『漁り火』のお造り、島では伊勢海老も獲れる。

 

島の漁業の未来は、『商品開発』に活路アリ。

カジキマグロやソデイカなんかだと、漁師が一週間かけて南大東島(沖縄県)まで行くんですよ。10kg級のソデイカなんかは一本1万2000円~3000円もの値が付いて、回転寿司のネタによく使われます」

▲沖永良部島漁業協同組合で組合長の東さん

 

重厚で落ち着いた声の主は、沖永良部島漁業協同組合で組合長を務める東善一郎(あずまぜんいちろう)さん。関西で生まれ育ち、30歳で両親の故郷である島に帰り40年あまりが経つ。民生委員や議員、町の議長を経て、平成21年から現職に就いている。就任直後から島の漁業の未来を案じ、島内外への自身のネットワークを活かして対策と準備を進めてきた。

 


セリ場に残されたソデイカのゲソは、その象徴と言える。これは正確には売れ残ったのではなく、一定以上の値がつかなければ漁協が買い取りストックしている。目的は3つ。1つめは、島の行事のため。2つめは、台風などにより流通リスクが常に伴う、島における危機的状況を回避するため。そして3つめが、大きく新たな市場を見据えた『商品開発』のためー。

▲漁協に併設された加工場「なびぐみ(近くの地名に由来)」

▲2020年には、干物を生産できる特殊冷風乾燥機などの設備を導入。

 

東さんは語る。

「これまでにも実験を繰り返してきました。たとえば東京の居酒屋チェーンと取引してみたり、要望に応える形で、島内で加工できるよう大型冷凍庫や鮮度を保持する装置を整えてきた。(水産物に混じった異物を除くための)金属探知機や大型の真空パック装置、干物をつくる冷風乾燥機もある。それらの設備を使って日本中で買い求められるような商品をつくり、『供給が間に合わないよ』というところまで持って行ける方に来てほしいと思います」

もう一人のキーマンが、現場の実務全般を手掛ける総務部長の宗岡裕介(むねおかゆうすけ)さんだ。「どんな人物に来てほしいか」と尋ねると、実情を交えながら語ってくれた。

▲シイラを持つ宗岡さん。

 

『商品開発できる人』が第一ですね。まずは島内で売れる商品をシッカリとつくって、島外へPRしていく。設備があってもこれまでは、漁協職員は事務作業が中心で、たとえば何匹か干物をつくってみるのに半日かかって同じ時間分の業務ができなくなってしまっていました。その点では、調理経験があれば助かるし、検証データの管理もしてもらいたいです」

 

▲冷凍庫の中を見せてもらった

 

求められる力は大きく3つ。『おいしく加工できる"調理経験"』『訴求力の強い商品を生み出す"開発力"』『需要を探り販路を開拓する"マーケティング能力"』。飲食メーカーや、飲食店でのマネージャー経験などが活かせそうに思う。そしてこの環境では、何よりも…。

『島暮らしに興味があること』です。(地域おこし協力隊の任期である)3年を終えたあとも、軌道に乗せられていれば漁協として継続雇用したいと思っています。なので島に移住したいという思いを一番持っていてほしい」

任期終了後に継続雇用の可能性があることは、地域おこし協力隊という制度においても珍しい特徴だ。自ら課題を見つけて取り組む点では自由度が高い制度ではあるが、とくに過疎地では市場が小さく、任期終了後の独立や就労が必ずしもうまくいく保証はない。島暮らしへの興味を持ち、食品開発に自信のある人には、絶好のチャンスと言えるのではないだろうか。

 

▲おもな職場となる和泊町役場庁舎は、2019年3月に完工したばかり。

 

チャレンジャーたちとの島コラボが隠れた魅力

最後に、筆者が考える、『沖永良部島で働く魅力』についても追記したい。

少し自分の話になるが、私は島にルーツを持つIターン移住者。一部では『孫ターン』と呼ばれるらしい。2020年7月に引っ越したばかりの新参者だが、たびたび驚かされるのが島にいるチャレンジャーの多さだ。IターンでもUターンでも、昔からいる人も、世代や職業などの枠を越えてチャレンジ精神にあふれた人が目立つ。

▲和泊町の地域おこし協力隊、デザイナーの並木建吾さん。ここで働く人の先輩となる。

 

▲東京から移住した並木さん、現在は和泊町の制作物全般のアートディレクションを行う。

 

全くないと言わないまでも、とくに仕事面では田舎のネガティブイメージにありがちな保守的な声に触れる機会は少ない。それはここが離島で、明治期からテッポウユリの球根をイギリスやアメリカといった外国に輸出し、戦後には関西を中心に出稼ぎ者が多かった挑戦の歴史があり、その流れが移住者をも巻き込み今も紡がれているのではないか。私はそう考えている。

▲沖永良部島は、春にはテッポウユリをふくめ様々な花が咲き誇る『花の島』。(写真提供:和泊町)

 

この仕事、期待値が高い分、プレッシャーを感じる人もいるかもしれない。調理経験、商品開発力、マーケティング能力、求められるものも少なくない。『興味はあるけど、難しそうだ』。しかし安心、いやむしろ楽しみにしてほしいのが、あなたが全力で取り組み、求めるなら、島にはきっと仕事の垣根を越えて力を貸してくれる人がたくさんいるということだ

▲島で生み出された豊富な商品の数々、アイデアマンやクリエイターも多い。

 

 

沖永良部島には、そうして生み出されたものがたくさんある。チャレンジ精神をむき出しに、そんな『島コラボ』にワクワクできる人なら、すでに向いていると言えると私は思う。

また、協力隊としての職務に影響のない範囲で兼業が可能。相乗効果が見込める働き方であれば、島や水産業を軸に積極的に活躍のフィールドを広げていくこともできるだろう。

 

▲安田拓さんと、経済課のみなさん。※業務中はマスクを着用しています

 

安田さんは言う。

島の漁業の未来を拓けるチャレンジングな方を探しています。島内外での需要を掘り起こし、島の恵みと海人(うみんちゅ)の想いをカタチに変えてほしい。新たな価値と魅力で『人と人』を紡ぎ、一緒に沖永良部島の進化へ挑戦していきましょう!

求む!南の島のシーフードプロデューサー。

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取材・撮影・執筆:ネルソン水嶋(島内在住ライター)

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和泊町HPはこちら!
鹿児島県和泊町ホームページ

沖永良部島の観光・生活情報についてはこちらから!
沖永良部島 観光案内|おきのえらぶじま観光協会【公式】
沖永良部島 和泊町の移住情報サイト「くらすわどまり」

地域おこし協力隊(シーフードプロデューサー人材)募集要項

■業務概要と募集人数
水産加工担当(雇用型)として、下記業務を中心に取り組む人材を1名募集します。
①水産加工品の開発、販路開拓
②鮮度保持技術の確立
③水産業の情報発信
④えらぶ漁業集落の運営サポート
⑤農林水産物加工品アドバイザー業務 ※2年目以降

■応募要件
次のすべての項目に該当する方が対象となります。

・条件不利地域(注1)を除く三大都市圏内(注2)の都市地域又は政令指定都市から生活拠点を和泊町内へ移し、住民票を異動することができる方。
・鮮魚を捌くことができ、業務に係る資格取得の意志がある方
※調理師免許取得者や食品衛生責任者、飲食サービス店又は宿泊施設(調理)勤務経験者歓迎。
・地方公務員法第16条に規定する職員の欠格条項に該当しない方
・原則、年齢20歳以上の方。
・心身ともに健康で、誠実に職務を行うことができる方。
・パソコン(メールの送受信、Word及びExcelの操作)の操作が出来る方
・普通自動車運転免許を所持している方
・柔軟な思考を持つ方
・コミュニケーション能力に長けた方
・最長3年間の活動期間終了後も、和泊町に定住し、就業又は起業する意欲のある方。

(注1)条件不利地域とは、過疎法、山村振興法、離島振興法の指定地域のこと。
(注2)三大都市圏とは、東京圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)、名古屋圏(愛知県、岐阜県、三重県)、大阪圏(大阪府、兵庫県、京都府、奈良県)の総称。

■勤務地(活動地)
・和泊町役場(沖永良部島漁業協同組合)

■勤務時間
・勤務時間:8:30~17:00(7時間30分)
・原則週5日勤務
・休日:土・日・祝日、年末年始、慶弔、年次休暇(任命時期等で異なる)
※休日出勤の場合は平日に振り替え

■雇用形態・期間
・隊員の身分は和泊町会計年度任用職員とし、地方公務員法に基づき和泊町長が任命します。
・任用期間は1年間とし、面談及び人事評価により、最長3年間まで再度の任用ができるものとします。
・協力隊員としてふさわしくないと判断した場合は、任用期間中であっても任用を取り消すことができるものとします。
※任期満了後、沖永良部島漁協での継続雇用については、それまでの事業展開や活動状況などを総合的に判断し、検討します。

■給与等
・月額166,000円
※実績に応じて翌年度以降昇給有り。
・社会保険完備(健康保険・厚生年金)
・期末手当(6月、12月)
・自宅から2km以上5km未満の場合に月額2,000円、5km以上の場合に月額4,100円の通勤手当あり。

■待遇・福利厚生
・協力隊としての職務に影響のない範囲で兼業は可能です、事前に届出が必要となります。
・住居は町が借り上げし、貸与いたします。
・活動に必要な消耗品及びパソコン、車輌(公用車)、出張旅費等は、予算の範囲内で町が負担します。
・業務に必要な資格取得費補助制度有り。

・隊員側で負担する経費は下記の通り。
①本町までの交通費(面接時を含む)
②引越し費用(運送費)
③自己都合による帰省費用・旅費・その他経費
④生活に要する水道光熱費
⑤自家用車(自動車・バイク等) ※本町での生活では移動手段として自家用車(自動車・バイク等)は必要不可欠ですので、個人で用意してください。

■募集期間
令和3年1月8日(金)~令和3年3月31日(水)
※ただし、応募状況によって、定員を満たした場合は事前周知なく締め切らせていただくこともありますので、お早めに応募書類を郵送ください。

■応募方法
・市販の履歴書(顔写真添付)に必要事項を記入の上、地域おこし協力隊応募用紙、居住地を確認できる書類(住民票抄本又は免許証及び健康保険証の写し等)を添えて、下記の応募先まで送付してください。
※職歴については詳細に記入してください。
※居住地を確認できる書類(住民票抄本)
※提出書類は返却しません。

■選考方法
・第1次選考:書類審査 ※随時
応募者全員に選考結果を文書で通知します。

・第2次選考:面接:※第1次選考合格者のみ(実技試験)
第1次選考合格者を対象に和泊町にて面接及び3者(受入地域、応募者、行政)マッチング協議を行います。
※第2次選考に要する交通費及び宿泊費等は、応募者の負担となります。
※新型コロナウイルス感染症の状況により、ウェブ面接になる場合もございます。

・最終選考結果の通知
面接者全員に選考結果を文書で通知します。

※和泊町への住民票の移動は、必ず任用日以降に行ってください。任用日以前に住民票を異動させると採用対象者でなくなり、採用取り消しとなります。

■問合せ先・書類送付先
・和泊町役場経済課 水産担当:安田 拓
・電 話 0997-84-3518
・FAX 0997-92-2935
・メール tyasuda@town.wadomari.lg.jp
・URL https://www.town.wadomari.lg.jp/

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